name波多野 勝則講師
affiliation
有限会社シナジー
代表取締役
profile
広島大学工学部経営工学科卒業後、大手人材ビジネス企業にて人材育成に携わる。その後、洋菓子メーカー、不動産ディベロッパーにて人事・教育の実務とマネジメント経験を深め、平成6年に㈲シナジーを設立し、代表取締役に就任。(社)日本報連相センター理事としても活躍中。同センターが提唱する「報連相=仕事の進め方そのもの」という視点をベースにした『真・報連相』研修を大手企業から小規模企業まで実施し高い評価を受けている。日本選択理論心理学会認定・選択理論心理士。PHPビジネスコーチ中級認定。
人間観のOSをバージョンアップする内的コントロールを身に着けて人間関係をスムーズに。
人間の脳のメカニズムを理論的に理解することで仕事も人生もうまくいく
私の研修では「人間観のOSをバージョンアップする」ことを提案しています。パソコンで例えると、OSのバージョンが低いパソコンに、いくら最新のアプリケーションを入れても上手く動作しません。高性能なアプリケーションを動かすためにはOSのバージョンアップが欠かせません。人間も同様で、まずは考え方の基本となる人間観のOSをバージョンアップし、その上で技能や能力を身につけていくと効果的に機能します。
私の研修の土台となっているのが、『内的コントロール心理学』の代表的な一つである「選択理論」です。私たちの脳がどのように機能しているのか(人はどのように動機づけられ、どのように認識し、どのように行動するのか)を理論的に理解することで、「良い人間関係づくり」、「セルフコントロール」、「自律・自立を育む教育やマネジメント」などに役立てようというものです。
私は20年前に、この選択理論及び選択理論に基づくカウンセリング手法に出会い、目から鱗が落ちる思いでした。自分の人生を変えるものかも知れないと感じた瞬間でもありました。
「人間の行動原理」を理論的に理解できるようになれば、それを前提としたコミュニケーションができ、人間関係がうまくいきます。「人を変えることはできない、人は自ら変わることができる」。これが『内的コントロール』の考え方です。それに対して、「人を変えることができる」と考え、人を自分の思うようにコントロールしようとするのが『外的コントロール』です。自分がうまくいかない時に、他人や環境のせいにするのも外的コントロールの思考といえます。自分の考えを押し付けて、部下をガミガミ叱っても、関係を悪くするだけです。そもそも他人をコントロールすることなどできないからです。内的コントロールを身につけて、それに即して行動できれば、自然と人間関係は上手くいくようになるのです。人間観のOSをバージョンアップし、自他の能力と可能性を最大限に発揮し、また引き出すことが、内的コントロールに基づく研修の目指すところです。
「個人の力」と「チーム力」を同時に養う“チーム学習法”
まだ、日本では取り入れている企業は少ないのですが、「アクションラーニング」というリーダーシップの開発とチームワーク力を養う研修も行っています。 アクションラーニングとは、「現実の問題」を「チーム」で検討し、解決策を立案し、行動し、振り返る中で個人の力とチーム力を養うチーム学習法です。
数人のチームを作り、それぞれのメンバーが実際に自分が抱えている問題を出し合い、特殊なルールのもと、解決するための意見を出し合っていきます。ここで言う特殊なルールというのは、メンバー同士、他者から受けた質問に答えることはできるが、それ以外、自分の自論を述べてはいけないというものです。
このルールに従って意見交換をすすめると、自分一人では考えつかなかった発想やアイディアがどんどん出てきます。みんなで意見を出し合うことで自分の問題が解決できる、そんなチーム力を体験すると、このチームでなら何でもできるという自信が湧いてきます。一個人の力は弱いけれど、チームが力を合わせれば何でもできるというパワーを感じることができます。これは、座学で習得することはできません。
人は研修を受ければ能力が伸びるというものではありません。研修はあくまでそのきっかけに過ぎず、このように現実の切実な問題に取り組むという体験をすることで、伸びるのです。教える研修では、得られないものです。
従来の研修にはない手法ですが、変化の激しい時代に求められるリーダーシップやチームワークや団結力を養うアクションラーニングは、リーダー育成や管理職育成に大きな実りをもたらします。
研修は教わるのではなく、学ぶもの
私は自分を講師ではなく、ラーニング・ファシリテーター(学習の支援者)だと思っています。「講師が受講者に教える」というのではなく、「受講者が自ら学ぶ」ことを支援するというスタンスで研修を進めています。人は、いくら人から教えてもらっても、自分が学ぼうと思わなければ、身につきません。研修の参加者には、自主的に参加している人とそうでない人の2パターンの方がいらっしゃいます。人間はどんなに良い話でもモチベーションが低いと何も吸収できません。だから、たとえ後者であっても、参加しているうちに自分と自分の未来に期待を持ってもらえるような研修をしたいと、いつも思っています。そして、何より私自身が内的コントロールの実践者であり続けることを大切にしています。
研修において大切にしていること
私が目指している研修は、分かり易く・楽しく・役立つ研修です。そのために大切にしていることが3つあります。
一つ目は、参加者の方に学ぶ喜びを感じていただき、「もっと学びたい」と思っていただくことです。
二つ目は、情報を伝えるだけでなく、その情報を活用することで何が得られるか、どんな良い事があるかをイメージしていただくことです。
三つ目は、「欲しているものを、他人を変えることで手に入れるのではなく、自分が変わることで手に入れる方が、欲しているものとの距離が近づく」ことに気付いていただくことです。そして、研修参加をきっかけに、参加者の皆さんが自分と周囲に肯定的な変化を創り出していかれることを願っています。