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仕事の管理・改善

Vol.4

仕事の管理・改善

野口 和裕
有限会社NTX/メイツ中国契約講師

みなさま、こんにちは。有限会社NTXの野口です。
当コラム最終回の今回は仕事の管理・改善について解説します。

仕事の管理とは、仕事を計画(組織化・予算作成)する事、そして計画した仕事を指令・統制・調整し、実施していく事になります。仕事の改善とは、職場での問題点の発見、そしてその問題点を改善していく事です。それぞれのポイントを解説しましょう。

仕事の計画と実施

近年、何らかの仕事を行うにあたり、計画して実施するまでの期間がどんどん短くなってきています。時代変化のスピード向上に合わせて、仕事も品質を保ちつつ短納期が求められます。このような「短納期」「高品質」が求められる時代背景の中で、管理職として仕事を計画し実施するための最大のポイントは強い組織を作ることです。関係性が良いチームをつくり、必要最少限の人数で仕事をする、つまりチームビルドです。

組織の人数が多くなれば、それだけコミュニケーションが発生します。そして、メンバーの関係性が良くなければ、ここでロスが発生し、仕事の効率が下がります。2人で2週間かかる仕事を、4人で行えば、単純計算なら1週間でできる事になりますが、実際は逆に納期が延び1カ月以上かかるという事を何度も経験しました。人が増えればコミュニケーションが増え、同時にそのロスも増えます。そのロスを低減させないと、効率は下がります。

私が管理職のときは、納期が厳しい仕事の場合は、メンバーの相性を考えチームを構成し、仕事を進めていく中で、メンバー相互の関係性が良くなるような働きかけをしました。具体的には仕事が終わった後メンバー同士で飲みに行ったりしました(いわゆる飲みニケーション)。しかし、今はそれもできなかったりします。価値観の異なるメンバーの関係性を良くする働きかけは、以前よりも難易度が高まってきており、管理職はそれに対応した新しいやり方を学ぶ必要があります。

問題点を発見・改善する

我々が仕事を進めていく中では、日々の業務の中で感じるちょっとした煩わしさから、いつか乗り越えないといけない大きな壁まで、さまざまな「困りごと」が降りかかってきます。いわゆるこれが「問題」と言われるものなのですが(定義は様々あります)、それは大きく分けて「現状の問題」と「未来の問題」の2つに分類することができます。

「現状の問題」とは日々の業務の中で改善を要する事です。例えば簡単な事では、作業報告書のフォーマットが書きにくく時間もかかるので、わかりやすいフォーマットにし、さらに電子化し、遠隔でも書いたり参照したりできるようにするといった事です。「未来の問題」とは、現状では困ってはいないが、将来困ることになりうる可能性があることを言います。例えば5年先を考えると、現在提供している自社のサービスは、AI(人口知能)に置き換わる可能性が高いため、自社の市場シェアが縮小してしまう見通しがあるといった事です。5年後になってあわてないように、今の時点で何か手を打つべき問題です。

『現状の問題』については、部下が問題を発見し、改善するような事が自然に行えるような風土を作ることが大切です。製造業などでは「カイゼン」と呼ばれている手法です。大切なことはうまくいっている会社の手法をまねることも重要ですが、メンバーが改善の必要性について納得している事と、具体的にどのような事が改善なのかの共通認識を組織で明確にすることが最も重要です。

加えて、管理職は『未来の問題』についても考えないといけません。未来に起こりうることを考え、それが現在の仕事にどのような影響を与えるか、現時点でどんな手を打てばよいかを考えるという事です。未来の問題発見と言い換えてもいいでしょう。日々の改善をしていったとしても、時代が大きく変わり、改善した仕事そのものが無くなることもあり得ます。管理職は現状だけでなく未来からも問題を捉え、その解決のために今のやり方に満足、固執せずに常に新しい改善へチャレンジする事が重要なのです。

これまで4回にわたり、管理職についてコラムを書いてきました。 「業績目標を達成しつつ、部下を育成する」という管理職の役割は昔から変わりませんが、環境が大きく変化していますし、これからも変化し続けていくでしょう。環境変化に対応するためには、管理職自身も変化していく事が必要です。

ただ変化は怖いです、これまでしてきた事、上手くいっていた事を変えなければいけなくなるかもしれませんし、時にうまくいかずに失敗することもあるかもしれません。失敗する事を考えると、できれば現状を変えたくない。そう感じるのはごく自然なことです。しかし、失敗とは新しいチャレンジをしたからこそ味わえるものです。失敗はチャレンジした証です。本当の失敗とは『何もしないこと』ではないでしょうか?

管理職のチャレンジを部下は見ています。私も以前ある管理職の元で働いていた時のことを時々思い出します。その方は現状に満足せず、常に新しいチャレンジをしていました。うまくいく事もありましたが、失敗する事もありました。私はいつしか上司のようにチャレンジしたいと思うようになりました。その後私は転職し、最終的に独立というチャレンジを選択するのですが、独立するとき、この上司(そのときは上司ではありませんでしたが)に独立決意のメールをしました。そうするとすぐ返信がありました。

嫁にやった娘みたいなものです。帰ってきてくれたら取りあえずは
嬉しいものの、娘の将来を考えたら、もっと頑張って幸せになって
欲しい。そんな心境です。
希望さえ有れば、結構がんばれます。ファイト!!!

このとき頂いたこのメッセージのおかげで、いろんな事を乗り越える事ができました。こんな上司になりたいと思います。ここまでコラムを読んでいただきまして、ありがとうございました。 みなさまのチャレンジを応援しています。

執筆者プロフィール

野口 和裕(有限会社NTX/メイツ中国契約講師)
キャリアのスタートはシステムエンジニアとして一部上場企業や官庁で各種システムの設計に従事。平成16年能力開発研修を業務とする有限会社NTXを立ち上げ、代表取締役就任。現役のエンジニアとして現場感覚を伝える研修には定評がある。専門はチームワークを引き出し組織を活性化させる手法として、ファシリテーション、リーダーシップ、コーチング等の研修や、イノベーションを起こすダイアログ研修、学習する組織など。

Webサイト(http://www.ntx.co.jp/